先日、ふと至福の感覚に満たされる瞬間があった。
それは、あることを想起することによってもたらされたものなのだが、きっかけがなんであったかどうしても思い出せない。
それは、どんなおいしいものを食べている時よりも。
強い性的な快感を得ている時よりも。
たとえば、豪華客船で贅をつくした旅をしていた時よりも。
とりわけ、私の場合、信仰上で得られる至福感よりも。
比べ難く、幸せな感覚であった。
それも、その時は、きっかけがわかっていたのに、何者かに打ち消されるように、記憶が飛んでしまった。
きっかけは、非常にたわいのないものであることは、分かっているのだが。
それが何であったか、どうしても思い出させてくれない。
非常にもどかしいのであるが、そういうものなのかもしれない。